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水の循環(じゅんかん)とリモートセンシング

計測システム工学講座 遠隔計測研究室 古津年章


水は地球の「血液」
地球は水惑星(aqua-planet)と云われています. それは,他の惑星とは異なり,表面の70%以上が水で覆われ,全ての生物が水のおかげで生きているからです. 植物も動物も,体の多くは水分です. また体内の水(すなわち血や汗やおしっこ)によって,体にエネルギーが運ばれ,汚れをきれいにすることができます. 地球にとっても,水は血液と同じ役割を果たしています. 水は汚れを洗い流し,またエネルギーを運ぶことができます.

なぜ水がエネルギーを運ぶのか?
皆さんは,打ち水って知っていますか?  水が蒸発するには多くのエネルギーが必要なので,打ち水をすると,エネルギーが蒸発に使われて涼しくなるのです. 水蒸気は,上空で雲になり,雨になります. そのときは,逆に回りにエネルギーを出します. 暑いところでは蒸発が活発になり,また寒いところでは,水蒸気が水になりますから,水のおかげで暑いところから寒いところへ,エネルギーが運ばれるのです.

水があると暮らしやすい気候になる
水は,土や砂やコンクリートに比べて暖まりにくく,冷えにくい物質です. そのため,夏になると海や川の辺りは陸地より涼しく,逆に冬は暖かくなります. 皆さんは,天気予報で,海から離れたところ,例えば群馬県や栃木県は,夏ずいぶん暑く,また冬はずいぶん寒くなるものだと思ったことはありませんか?  内陸では,水が少ないので,どうしても夏暑く,冬寒くなってしまうのです.

みんな水の「循環」のなかで生きている
水の循環のなかで,森ができ,動物が生き,川が流れ,魚が泳ぎ,人々が暮らしています. 林業も農業も工業も漁業も,水の恵みで成り立っています. 水がある社会,それは豊かな森や草原,色々な動物や昆虫が活き活きと生きることのできる社会です. 私たちの家の周りに,きれいな流れや池や湖があり,そこでは色々な魚が泳ぎ,水遊びができ,夏には涼しい風が吹いてくる,そのような生活は,私たちの心も体も新鮮にしてくれるでしょう.

水循環を大切にしたまちを作ろう
皆さんの家の周りを考えてください. 水が豊かに循環していますか?  地面をアスファルトで固めてしまうと,水の循環が止まってしまうのではないでしょうか?  汚れた水を平気で捨てていませんか?  水をきちんと循環させてやると,町はもっと涼しく,井戸水もおいしく,川もきれいに,街路樹も動物も,そして人間も元気になってきます. 今年の夏の暑さは異常でした. 水循環を大切にすると,暑さも少しは和らいだことでしょう. 日本の国はもともと水が豊かで,おいしい水は自然に湧き出ていました. それは水がきちんと循環していたからです. 今は皆ペットボトルの水を飲んでいます. なぜでしょうか.

図面:環境省ホームページより(一部追記)

電波や光を使った「水」のリモートセンシングの色々
リモートセンシング(電波や光を使って,遠くにあるものを測る技術)については,「その2」で説明し ました.水もリモートセンシングできます.
  1. 電波は,雨粒で反射します.雨が強くなると,反射の強さも大きくなります.これを利用して,雨の 強さがわかります.これを降雨レーダーといいます.
  2. 人工衛星から光を使って観測すると,地球全体の雲の様子がわかります.気象衛星「ひまわり」 でおなじみですね.
  3. 水蒸気は,電波や光を吸収します.(地球温暖化にも影響しています.) 水蒸気が増えると電波 の吸収量も多くなります.これを利用して,水蒸気の量がわかります.
そのほか,海や湖の水質や水の流れ,地面の湿り具合,洪水で浸水した土地の広がりなどをみることができます. 電波や光を使った水のリモートセンシングは,地球温暖化の監視や予測にも活躍しています.

2009 年2 月20 日古津 URL:http://ecs.riko.shimane-u.ac.jp/~rsl/
e-mail:kozu@ecs.